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売却について

買取り業者に売却するときは「第三者の為の契約」が利用されることがある

こんにちは、はぎわら不動産㈱の萩原です。

鈴鹿市を中心に、土地や空き家、中古住宅の売却サポートを専門に行っております。

今回は、不動産取引における「第三者のための契約」についてお伝えいたします。

買主業者が転売時に登記費用を減らすために用いる方法

土地や中古住宅を売却する際、仲介売却ではなく買取業者に直接買い取ってもらうケースがあります。この際、「第三者のための契約」という手法が利用されることがあります。

買取業者は、購入した不動産を迅速に転売することを目的としており、不動産取得税や登記費用を抑えるため、所有権移転登記を省略し、転売時に最初の売主から新たな買主へ直接所有権移転登記を行う方法を採用します。

例えば、Aさんが不動産をB社に売却し、B社がすぐにCさんに転売する場合、本来必要なA→B、B→Cという二段階の登記を省略し、直接A→Cへ所有権を移転する手法です。この方法は、以前は「中間省略登記」として行われていました。

しかし、2005年の不動産登記法改正により、権利変動を正確に登記簿に反映させる観点から、従来の中間省略登記は原則として認められなくなりました。

そこで現在では、「第三者のための契約」という形が採用されています。これは、契約当事者(AさんとB社)が、契約の効果を直接第三者(Cさん)に帰属させる契約形態を指します。具体的には、Aさん(売主)とB社(買取業者)が売買契約を結ぶ際、B社が契約の利益をCさんに直接帰属させるよう取り決めるものです。これにより、所有権はAさんから直接Cさんへ移転します。

この手法の大きな特徴は、B社(買取業者)が一度も所有権を取得せず、最初からCさんが取得者となる点です。Cさんが「受益の意思表示」を行うことで、契約上の権利を取得します。この手法は、民法第537条に基づく合法的な方法であり、現在の不動産取引において中間省略登記に代わる手段として活用されています。

契約形態の比較

項目 中間省略登記 第三者のための契約 一般的な売買契約
目的 中間者(B社)の登記を省略 B社を経由せず、直接Cさんに権利を帰属 B社を経由して通常の売買を行う
所有権の移転 B社に一旦移転(登記は省略) B社に移転せず、直接Cさんに移転 B社に移転後、Cさんへ移転
法的根拠 慣習的に行われていたが現在は原則不可 民法537条に基づき合法 民法
登記の流れ A → C(B社を省略) A → C(B社を経由せずに契約) A → B社 → C

通常の取引とは違うので売買契約書の条文を確認する必要がある

実務では、宅建協会の標準書式で売買契約が行われることが多いのですが、この書式は所有権が売主Aさんから買取業者B社へ移り、その後第三者Cさんへ所有権が移る形となっています。そのため、第三者のための契約を利用する際に宅建協会の標準書式をそのまま使用すると、契約内容に齟齬が生じる可能性があります。

特約で「所有権移転登記は直接第三者へ移転する」との文言を追加するだけでは、従来の中間省略登記の形式になってしまい、知らず知らずのうちに登記法違反の売買契約を締結してしまう恐れがあります。そのため、契約内容の詳細な確認が必要です。

また、手付解除の取り扱い、固定資産税等の清算時期、契約不適合責任、引渡し前の滅失・毀損の場合、買主業者によるリフォーム工事を行う場合の承諾、契約解除になった場合の原状回復や費用負担など、細部にわたる取り決めを明確にしておく必要があります。

買取業者へ売却する際に第三者のための契約を行う場合は、売買契約書の内容をしっかりと確認し、適切に進めることが重要です。

~鈴鹿市で土地売却・空き家売却、中古住宅売却をご検討の方は、はぎわら不動産㈱へお気軽にお問い合わせください~

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