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事故物件の告知判断基準を国が公表した
こんにちは、はぎわら不動産㈱の萩原です。
鈴鹿市を中心に、土地売却・空き家売却・中古住宅売却など、不動産売却のサポートを専門に行っています。
今回は、事故物件の告知判断基準を国が公表したことについてお伝えします。
国土交通省より新たにガイドラインが公表された
過去に事故や自殺、孤独死などがあった不動産を取引するときは心理的瑕疵物件(事故物件)として扱われます。
心理的瑕疵の内容や状況は、購入や借りる時の判断や、価格・賃料に大きく影響することから、必ず重要事項説明の中で告知することが義務付けられています。
心理的瑕疵物件の売却の際に価格にどのくらい影響するのかは、そうでない場合よりも3割ほど価値が下がると言われていますが、実際には、事象の内容や地域性、経過年数によって変わります。
田舎では都会よりも人間関係が濃くうわさが広まりその影響が残りやすいことから心理的瑕疵物件の価値は下がりやすくなります。人間関係が希薄だと周りの目をそれほど気にしないで購入できますし、都会では「安ければ購入したい」と考える人が多い傾向があります。
心理的瑕疵の内容では、自然死や病死などは影響が少なく、事件、他殺、孤独死で発見が遅く腐敗していた場合などは影響が大きくなります。
建物については解体できますが、建物を解体してもその土地で心理的瑕疵があった事実は変わらないので同じく価格に影響します。
経過年数については、時間がたつほど影響は小さくなります。しかし10年経ったら完全に影響が無くなるというものでもないので総合的に判断されることになります。
空き家件数が増加する一方で住宅難民も増加している
このような心理的瑕疵物件については賃貸借の貸主が孤独死をされると、その後の空室や家賃減額の影響を受けるので、高齢者の入居を断るケースが増えて問題になっています。特に単身高齢者が住まいの確保できない例が多くあるようです。その一方で空き家が年々増加しています。
そのため、国土交通省が死の告知に関するガイドラインを発表しました。
死の告知に関して妥当な判断基準を示すことによって、取引の売主×買主、貸主×借主のトラブルと、不動産会社×ユーザーのトラブルを減らすことや、告知をする必要がない基準を示すことで過度に心理的瑕疵物件を増やすことや流通の妨げになることを防ぐ目的があります。
このガイドラインでは、「他殺・自殺・事故死は売買の場合は告知すべき内容」になっていますが、賃貸では3年経過後は「告げなくてもよい場合」に分類されています。
その他、自然死や病死、転倒や溺死等の不慮の死は、買主・借主の判断に需要な影響を及ぼす可能性は低いと考えられ「告げなくてもよい」と判断されています。但し、事件性、周知性、社会に与えた影響等が特に高い事案は告げる必要ありとなっています。
自然死等の場合でも放置され特殊清掃が行われた場合は、3年経過するまでは「告知すべき内容」に含まれています。
このガイドラインの内容については、住宅難民、空き家問題を改善することや法的責任の参考基準を示すことでトラブル減少につながると考えられます。
購入者や借主にとっての「安心・安全な取引」の視点では疑問が残る
しかし、不動産取引の買主や借主であるユーザー視点で考えるとこの基準が果たして妥当なのだろうかと感じます。
人の死に対して重要視する場合は慎重に対応することが望ましいとの文言はありますが、重要視しない方が珍しいと思います。
信頼していた営業マンに紹介された物件が後から「1年前に風呂で子供が溺れて亡くなっていた家だった」と知ったらと普通はショックを受けると思います。「事前に教えてほしかった。」と伝えた回答が「ガイドラインでそうなっているので。」との内容だったら自分達家族のことより取引を優先したのかと感じとても納得できないと思います。
何も知らず生活を始めたら、3年ちょっと前に自殺があった物件だったことを、子供が学校でお友達から聞いて初めて知るといったことも予想され、そのような場合は借主はその賃貸借取引を大きく後悔することが予想されます。
最近のネット販売では口コミや満足度など購入したユーザーの率直な感想が確認できてそれが購入者の安心・安全な購買に繋がっていると感じます。
不動産取引でもその不動産の価値は、本来、借り手や買い手が決めるものだと思います。すべての要素を考慮したうえで価格や賃料が反映されないと安心して不動産を検討することは難しくなると思います。
法的責任や社会問題の改善も大切ですが、ガイドラインの判断基準に「お客様のニーズ」が十分に考慮されていなければ、買主、借主からの支持は得られないのではないでしょうか。
~鈴鹿市で土地売却・空き家売却、中古住宅売却をご検討の方は、はぎわら不動産㈱へお気軽にお問い合わせください~