新着情報
境界立会いをしたら隣地の排水管が越境していた事例
こんにちは、はぎわら不動産㈱の萩原です。
鈴鹿市を中心に、土地売却・空き家売却・中古住宅売却など、不動産売却のサポートを専門に行っています。
今回は、境界立会いを行ったときに、隣地の排水管が越境していた事例を紹介します。
隣地の排水管が15センチほど越境していた
隣接地との境界が不明瞭な土地を、売買契約締結後に境界立会いを行いました。すると、地積測量図をもとにした境界点と実際に現地にあった境界標が大きくずれていました。
この境界標が実際の境界と思い込んでいた隣地所有者が施工した排水管が売却不動産へ15センチほど越境している状態でした。境界の場所はお互いの認識が一致してなければ確定しません。隣地所有者は「現地の境界標が境界点だ。」と思っていたので、その場ではいったん保留となり家族で相談するということになりました。
売主としては、すでに売買契約を済ませており、買主に対して境界を確定して引き渡す責任があるのでとても心配していました。相手側の主張を受け入れた場合は1坪ほどこちらの土地が狭くなってしまい、買主に迷惑がかかることになってしまいます。
売主は、実測精算は行わない公簿売買で契約を締結しており、土地面積が狭くなってしまっても売買代金は減額されないのですが、だからこそ公簿売買の面積から減るのは困るという心理が実際には働きます。
排水管が埋まっている部分だけ分筆をして隣地所有者へ売却して、その金額分買主の支払い費用を減らしてもらう提案を買主側へしようとも考えましたが、分筆費用と所有権移転費用が必要になってくるのでその負担をどうするのかや、その手続きを行うことで買主への引渡し期日が間に合わなくなってしまうという問題もありました。
問題の可能性があるものはすべて販売前に解消しておく
このように売買契約締結後に境界確定手続きを行うと後からトラブルが表面化してしまうことがあります。私としては販売前に境界確定を行うことをお勧めしていますが、「売れるかどうか分からないのに費用をかけるのは嫌だ」とのことで売買契約が成立してから境界確定を行うことになりました。このような売主は境界確定時のトラブルについてあまり知らなかったり、説明しようとしても聞かなかったりする傾向があります。
境界確定手続きは隣地所有者の協力がなければ順調には進みません。悪質な隣地所有者であれば少しでも自分の土地が広くなるようにごねてきたりします。そのような可能性があることや、越境物が発見されその問題を解決することを考えても売買契約前に境界確定を行い、きれいな状態にして販売する方が、買主に対しての安心材料になります。
売買契約締結後に買主にとって不都合な事象が発見された場合は、債務不履行責任を追及され減額や契約解除になってしまう可能性があるので売主のリスクを避けるためにもできることは先に済ませておく方が賢明です。
この事例では、土地家屋調査士の先生が、公簿面積や地積測量図をもとに境界の根拠を丁寧に説明して、隣地所有者が納得のうえ、すぐに排水管を移動してもらえたので大きな問題にはなりませんでした。
重要事項説明と売買契約書に、「境界確定手続きの結果隣地所有者の協力が得られず、境界が一部不明瞭になる可能性があること、引渡し日に間に合わない可能性があることを記載して買主に納得してもらっておくこと」は当然必要ですが、それは売主の身を守るためであって買主のための条項ではありません。買主はその後の建築や引っ越しなどの予定もありますし、真剣に検討して契約した不動産が思っていたものよりも価値が低いものであればとてもガッカリします。
そのような取引になってしまうことは売主にとっても良いものではないはずです。お互いに信頼して不動産の売買契約を締結する以上、問題のない形で引き渡すことが社会人としてのあるべき姿です。
不動産売却を検討の方は、安全な取引をするためにも、信頼して購入してくれる買主の気持ちを裏切らないためにもトラブルの原因となる要素は販売前に解消しておくことをお勧めします。