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確定測量図を交付できなくて契約解除になった事例
こんにちは、はぎわら不動産㈱の萩原です。
鈴鹿市を中心に、土地売却・空き家売却・中古住宅売却など、不動産売却のサポートを専門に行っています。
今回は、売主が引渡し日までに確定測量図を交付できなくて契約が解除となった事例をお伝えします。
裁判で買主側の契約解除が認められた
名古屋の裁判事例で、売主が引渡し日までに確定測量図の交付が出来なかったことを理由に買主が代金支払いを拒んで争いとなったというものがありました。
売買契約時に「売主は引渡し日までに確定測量図を交付する」といった条件を入れていたようです。
境界確定手続きは、土地家屋調査士に依頼して行います。売買対象の土地に接するすべての隣地所有者の協力が必要ですが、様々な理由で確定しないことがあります。
境界の場所が一致しないことの他に、遠方で来れない、所有者が複数いてまとまらない、判断能力が無くて対応できない、連絡が取れないなど、手続きを進めることが困難なことがあります。
この事例では、測量図としては作成したけれど、署名押印の必要な境界確認書が作成できなかったので正式な確定測量図が交付できなかったようです。
境界確定の目的は、正確な測量図があればよいというわけではなく、境界についてすべての隣地所有者との合意があり、「境界について不確定要素が全くないこと」を証明することです。
売主側は、境界の争いは無く、法務局が隣地所有者の署名押印が無くても有効な確定測量図として認めていると主張したようですが、裁判所は、立会いや境界確認書への署名押印が得られないこと自体が商品価値を低下させるのであり、そのリスクを買主が回避しようとすることには合理性があるとして契約解除を認めたようです。
法務局に認められて分筆まで出来るような測量図があっても、隣地所有者の署名押印がそろっている境界確認書が無ければ、「引き渡し日までに確定測量図を交付する」との売主の義務を履行したことにはならないことが裁判例で示されました。
契約書の条件で具体的に決めておく必要がある
このような事例から売買契約の時には「売主は引渡し日までに確定測量図を交付する」といった取り決めを安易にしないことが大切です。
契約後から引渡しまでに境界確定手続きを行うときには、境界確定手続きが引渡し日に間に合わなかった場合や、隣地所有者の協力が得られなくて境界が確定しなかった場合、境界の争いは無いが境界確認書の署名押印が出来なかった場合等の時にどうするのかを具体的に決めておくことが重要です。
過去には「境界ポイントは合意するが、境界確認書への署名押印は何らかの責任が生じるようで嫌だ。」という方がいました。このような些細な理由でも確定測量図を交付する義務を履行できなくなってしまうので、些細な理由等で確定測量図の交付に至らない時には買主へ説明して取引を進めていけるような取り決めにすると良いと思います。
契約後に境界確定手続きを行うことは先にお金を払わなくてもよいメリットがありますが、契約を締結した後にいろいろなトラブルが発生する危険があるので、はぎわら不動産㈱では、安全な取引を行うために、販売前に境界確定手続きを行うことをお勧めしています。
~鈴鹿市で土地売却・空き家売却、中古住宅売却をご検討の方は、はぎわら不動産㈱へお気軽にお問い合わせください~