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売主から買主への告知義務の責任は大きい
売主には買主への説明義務がある
宅建協会の研修で、トラブル事例に関する講習を受けました。その中で、売主が買主への告知義務を軽く考えてしまうと、大きなトラブルにつながり得ることを改めて痛感しました。
今回取り上げられた事例は、古い建物を解体業者に依頼して更地として買主に売却した後、買主が新築工事を開始したところ、地中からガラなどの地中埋設物が発見されたというものです。その撤去工事費用や、工事遅延に伴う損害が買主から売主に請求されました。
契約不適合責任の期間は3ヶ月とされていましたが、発覚したのは4ヶ月後でした。形式的に見れば売主の責任は免れるように思えます。しかし判例などによれば、売主の責任は否定されず、結果として売主は買主に損害賠償金を支払うことになるようです。
知っていることだけでなく知りえた情報も含まれる
本件の売主は、地中にガラがあることを知らず、解体業者にも通常どおり依頼していました。そのため、契約時の告知書でも「地中埋設物については知らない」と記載していました。
それでも責任を負うことになったのは、解体業者は埋設物の存在を知っていたはずであり、売主もその情報を把握し得たと評価され、適切な告知・説明をしなかったことが不法行為上の責任につながったためです。
このように、「知らなかった」「発見していない」という曖昧な説明では、売主自身が大きなリスクを抱えることになります。契約不適合責任が免責されている場合でも、告知義務違反として別の形で損害賠償責任を問われることがある点は重要です。
さらに、売主が本当に知らなかったとしても、「知り得た情報」「把握すべき情報」については、買主へ説明する義務を負う可能性があります。これは、一般にイメージされている告知義務よりも重い責任が売主側に課されていることを意味します。
一方で、本件に関しては、仲介を行った不動産会社については重要事項説明書に基づく調査義務違反は認められませんでした。
売主としては、不動産会社や解体業者などの専門家に任せておけば、安心して売却できると考えがちです。しかし、売買契約における最終的な責任者は、あくまで不動産の所有者である売主自身です。
そのため、売却時には「高く売る」「早く売る」だけに目を向けるのではなく、安全に売却することを最優先に考えることが極めて重要です。
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